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ジムに入ったものの、胸の日に何をやればいいのか分からない。ベンチプレス、フライ、ディップス、マシンと種目が多くて、迷っていませんか。

この記事では、ジムで行う王道の胸トレ10種目を、筋肥大の論文の結果でS〜Cに分けました。フォームの難しさはティアに入れず、別の章で「難・普・易」で解説しています。部位ごとに7本の記事を書く予定で、これはその1本目です。

悩みの整理:種目が多くて、何が筋肥大に向いているのか分からない

胸のトレーニングには、バーベル、ダンベル、マシン、ケーブル、自重と、いろいろな道具があります。どれも王道の種目ですが、1回の時間は限られます。

先にお伝えすると、論文を見る限り、種目による筋肥大の差は小さいです。この記事のS〜Cは、筋肥大の大きさの順位ではありません。胸の筋肥大を測った研究があるかと、その結果で分けています。

比較表:王道の胸トレ10種目を筋肥大でS〜Cに分ける

ティア表

ティア 種目 筋肥大の論文での裏付け
S バーベルベンチプレス、インクラインベンチプレス 筋肥大を測った研究で厚みが増え、筋活動の査読論文でも高い結果
A ダンベルベンチプレス、ダンベルフライ、ペックフライ、プッシュアップ 筋肥大を測った研究で厚みが増えた。筋活動は、小さい結果か、学位論文・学会発表のみ、または確認できていない
B スミスマシンベンチプレス、ケーブルフライ 筋肥大を測った研究が見つからず、筋活動はベンチプレスと有意差がなかった
C チェストプレスマシン、ディップス 筋肥大を測った研究が見つからず、筋活動は結果が分かれるか、比較が限られる

10種目の比較表

種目 種類 主に狙う場所 筋肥大を測った研究 筋活動の研究 研究の限界
バーベルベンチプレス 多関節 胸全体 8週間の研究で、40%1RMのベンチプレスにより、胸の厚みが増えた(筋トレ未経験の男性18人) 査読論文で、ダンベルフライより、胸・肩(前部)・三頭の活動が大きかった 筋肥大の研究は、低負荷で未経験者が対象
インクラインベンチプレス 多関節 上部の胸 8週間の研究で、インクラインのみのグループは、上部の厚みの増加が、フラットのみ・併用より大きかった。中部は明確な差がなかった ベンチの角度を比べた査読論文で、30度前後のインクラインは上部の活動が高く、フラットは中部・下部が高かった 対象は筋トレ未経験の男性で、週1回
ダンベルベンチプレス 多関節 胸全体 10週間の研究で、ダンベルフライと胸の厚みの増加が同程度(経験のある男性26人、週2回) 学会発表で、バーベルやマシンと有意差がなかった 10週間の研究は、解説記事を通じて確認した内容
ダンベルフライ 単関節 胸 上と同じ10週間の研究で、ダンベルベンチプレスと同程度 査読論文で、ベンチプレスより小さく、二頭は大きかった 10週間の研究は、解説記事を通じて確認した内容
ペックフライ 単関節 胸 12週間の研究で、胸の厚みが、上部で17〜18%、中〜下部で21%増えた(未経験の男性15人。1セットと3セットで差はなし) 学位論文で、ベンチプレスと有意差がなかった 他の種目との比較ではない。未経験者のみ
プッシュアップ 多関節 胸と三頭 8週間の研究で、40%1RMのベンチプレスと、胸の厚みが同程度に増えた(未経験の男性18人)。4週間の別の研究(経験のある男性23人)では、どちらも厚みが変わらなかった 確認できていない 研究によって結果が分かれた
スミスマシンベンチプレス 多関節 胸全体 見つからなかった バーベル・ダンベルと、胸と肩(前部)に有意差がなかった。三頭は、安定性が高いほど大きかった 筋肥大の研究がない。筋活動は、解説記事を通じて確認した内容
ケーブルフライ 単関節 胸 見つからなかった 学位論文で、前傾したケーブルクロスオーバーは、ベンチプレスと有意差がなかった 学位論文のみ。筋肥大の研究がない
チェストプレスマシン 多関節 胸全体 胸に限った研究は見つからなかった。マシンとフリーウエイトの比較(胸に限らない)では、筋肥大に差がなかった 結果が分かれた。学会発表ではベンチ系と有意差がなく、学位論文ではベンチプレスより低かった 胸に限った筋肥大の研究がない
ディップス 多関節 胸と三頭 見つからなかった 2022年の査読論文で、バーディップスは、ベンチディップスより、筋活動が大きかった。ベンチプレスと比べた研究は見つからなかった 筋肥大の研究がなく、ベンチプレスとの比較もない

ティアの見方:胸の筋肥大を測った研究を重くみる

基準は2つです。1つ目は、胸の筋肥大(筋肉の厚み)を直接測った研究があるかと、その結果です。2つ目は、筋活動(筋電図)の研究の結果と、その質です。各ティアの条件は、ティア表の通りです。

ペックフライは、12週間で胸の厚みが17〜21%増えた研究があり、筋肥大に使える種目です。ただし、他の種目と比べた研究ではないため、Sには入れていません。ディップスは、胸の筋肥大を測った研究を見つけられませんでした。Cは、筋肥大が小さいという意味ではなく、研究で確認できていないという意味です。

フォームの難しさと解説

フォームの難しさは、ティアには入れていません。ただし、難しい種目や、ケガにつながりやすい点があるため、ここで解説します。難しさは、「難・普・易」の3段階です。準備の多さと、肩への負担のかかりやすさから付けた私の目安です。

種目 難しさ フォームのポイント 注意点
バーベルベンチプレス 難 足を床につけ、肩甲骨を寄せて下げる。グリップは肩幅より少し広めで、バーが胸に触れたとき前腕が垂直になる幅。肘は体から45〜70度。バーは胸の下部に下ろし、肩の真上へ押し上げる 補助者か、胸の少し下に設定したセーフティバーが必要。親指をかけない握りは避ける。肘を90度近くまで開くと、肩の前面に負担がかかる
インクラインベンチプレス 難 バーベンチプレスと同じ。ベンチの角度は30度前後が目安 角度を上げすぎると、肩の前面の関与が増える
ダンベルベンチプレス 普 肩甲骨を寄せて下げ、肘は体から開きすぎない。左右のダンベルを同じ軌道で動かす 軌道が固定されないため、左右をそろえる必要がある
ダンベルフライ 難 肘を軽く曲げた角度を保つ。ダンベルは肩の高さより下げすぎない 重すぎる重量と、下げすぎは、肩を痛める原因になる
ペックフライ 易 ハンドルが胸の中〜下の高さに来るようにシートを調整し、背中をパッドにつけ、肘を軽く曲げたまま動かす 肩をすくめない
プッシュアップ 普 手は肩幅よりやや広く。頭からかかとまで一直線にし、体幹とお尻に力を入れる。肘は体から約45度で、胸が床に近づくまで下ろす 腰が落ちる、お尻が上がる、肘を真横に開くのが代表的なミス。きつい場合は、膝をつくか、手を台の上に置く
スミスマシンベンチプレス 易 ベンチの位置を調整し、バーが胸の中〜下の位置に下りるようにする。バーをひねってフックを外す。肘は体から約45度 セーフティストップを胸の少し上に設定する。軌道が固定されるため、ベンチの位置がずれると肩に負担がかかる。戻すときは、フックが引っかかったことを確かめる
ケーブルフライ 普 肘を軽く曲げた角度(15〜20度ほど)を保つ。肩甲骨を寄せて、胸で引くように動かす 肩の前面ばかりに効かないよう、重量を抑える。深く開きすぎない
チェストプレスマシン 易 ハンドルが胸の中央の高さに来るようにシートを調整し、背中をパッドにつけて、肩甲骨を寄せる 肘を伸ばしきらない。ハンドルを胸より後ろに引きすぎない
ディップス 難 体を少し前に傾け、肘は体から開きすぎない。肩が肘より少し下に来る深さが目安 肩の痛みが出る場合は浅くする。反動を使わない

バーベルベンチプレス:準備が多く、難しい

足を床につけ、肩甲骨を寄せて下げます。ラックから外すときは、肘を伸ばしたまま行います。バーは胸の下部に下ろし、肩の真上へ、やや斜めに押し上げます。重い重量では、補助者か、セーフティバーを使ってください。

ダンベルフライ:肩への負担に注意

動作中は、肘を軽く曲げた角度を保ちます。肘を曲げ伸ばすと、プレスになってしまいます。重い重量や、深く下げすぎる動きは、肩を痛める原因になります。肩に不安がある方は、マシンやケーブルのフライを代わりにする方法があります。

ディップス:体重を支える必要がある

体を少し前に傾けると、胸の関与が増えるとされます。肩をすくめず、反動を使わないでください。肩に痛みがある場合は、行わないほうがよいとされています。

私のメニュー

月曜にベンチプレスとインクラインダンベルベンチプレス、木曜にディップスとインクラインチェストプレスマシン、土曜にスミスマシンベンチプレスとスミスマシンインクラインベンチプレスを行っています。毎回2種目で、胸は1日4セット、週12セットです。この組み合わせにした理由は【要確認】です。週10セットの考え方は、別サイトの記事にまとめています。

[参照リンク: 筋トレ 分割法 ジム入りたてのあなたへ(全身法と週10セットの記事)]

気になる点と、向かない人

気になる点は、研究の数が限られることです。対象は男性が中心で、未経験者と経験者に分かれています。また、筋電図の結果は、長期の筋肥大の差を、そのまま示すものではありません。種目ごとの筋肥大の差を、数字ではっきり知りたい方には、向きません。

まとめ

  • ティアは、胸の筋肥大を測った研究があるかと、その結果で分けました。筋肥大の大きさの順位ではなく、種目による差は小さいです
  • Sは、バーベルベンチプレスとインクラインベンチプレスです
  • Aは、ダンベルベンチプレス、ダンベルフライ、ペックフライ、プッシュアップです
  • Bは、スミスマシンベンチプレスとケーブルフライです
  • Cは、チェストプレスマシンとディップスです。研究で確認できていないという意味です
  • フォームの難しさは、ティアに入れていません。難しい種目は、重量を抑えて、フォームを優先してください

参考にした研究

  • Solstadほか(2020)Journal of Sports Science and Medicine
  • Chavesほか(2020)International Journal of Exercise Science
  • Rodríguez-Ridaoほか(2020)International Journal of Environmental Research and Public Health
  • Haugenほか(2023)BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation
  • Kikuchi, Nakazato(2017)Journal of Exercise Science & Fitness
  • Kotarskyほか(2018)Journal of Strength and Conditioning Research
  • Pintoほか(エディス・コーワン大学の研究。ペックデックの1セットと3セットの比較。発表年・掲載誌は確認できていません【要確認】)
  • Saeterbakkenほか(2011)Journal of Sports Sciences
  • Mortonほか(2012)米国スポーツ医学会の年次大会での発表
  • Schanke(2012)ウィスコンシン大学の修士論文
  • ダンベルベンチプレスとダンベルフライを比べた10週間の研究(著者・掲載誌は確認できていません【要確認】)
  • フォーム:NASM・ACEのエクササイズ解説、各種解説記事